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15万年前の歯周病ケア
知能が未発達と考えられているネアンデルタール人だが、少なくとも歯の衛生に関しては違ったようだ。食後は楊枝(ようじ)を使っていた可能性が高い。 スペイン、Institut Catala de Paleoecologia Humana i Evolucio Social(IPHES:人類の古生態学と社会進化のカタロニア研究センター)のチームによれば、数万年前に絶滅したネアンデルタール人は、楊枝で食べカスを掃除しながら、歯周病の痛みも和らげていたという。
この習慣は、槍の使用より前に始まっていた可能性が高いと研究者は考えている。
研究では、痛みを緩和する目的で楊枝を使用した最古の証拠が示されている。スペイン、バレンシアのコバ・フォラダ(Cova Forada)遺跡で発掘された頭蓋骨の上あごには、化石化した歯が残っていた。5万~15万年前の頭蓋骨と推定されている。
ネアンデルタール人も楊枝を使っていた、という考え自体が新しい訳ではない。四肢が発達したヒト族が歯をつついていた証拠があるからだ。その痕跡は、160万~190万年前に存在した初期人類ホモ・ハビリスでも確認されている。
今、研究で注目されているのは、ネアンデルタール人が楊枝を別の目的で使っていたことを示唆している点だ。スペインで発掘された化石には、紛れもない楊枝の跡とともに、歯周病の証拠が残っていた。
研究チームは歯のお掃除だけではなく、歯周病による痛みや炎症を緩和する目的で楊枝を使っていたという仮説を立てた。
「骨が溶けるほどの重症の歯肉炎だ。不快感や痛みは相当なものだったのだろう」、「歯間ブラシのように楊枝を使うと、いくらか痛みも和らいだはずだ」。
研究論文は、「歯肉炎を緩和するために植物から作った楊枝を使う行為は、基本的な歯科治療の一種と考えられる」と主張している。